Fabric

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COOVAの織物設計

様々な地域で長く使われてきた布には、共通した心地よさがあると感じる。
COOVAはそこから発想を得て新しい解釈でイメージし、
使う人とともに成長し続けられるような布になることを目指している。

例えば音楽のような、なくても困らないけど
そこにあることで暮しや人生を豊かにしてくれる、そういう存在の布。
使う人それぞれが布のなかに物語を発見できるような、自由さのある布を提案したい。

COOVAにとっての織物設計とは、
・素材選び(イメージにふさわしい手ざわりの糸、太さ、経[タテ]や緯[ヨコ]の色)
・織りかた(糸が打ち込まれる密度や、経糸がどんな上がり方をして、どの緯糸が入るのか)
・生産方法(産地や工場、スケジュール、どのくらい作るか)
という主な3つの要素がある。
これらを行き来しながら考えることが主な流れになっている。

設計を進める際には、Excelソフトを使う。
織物は合理的な要素で成り立っているから、
布を考える際には足す・引く・掛ける・割るといったたくさんの計算が行われる。
そういう数学的な面にExcelはとても合っている。
けれどもCOOVAがこれを使って設計をするもうひとつの理由は、
ともに製作する人たちにその全体像を伝え、共有したいからでもある。
また、そうすることで得られる、開かれたものづくりに可能性を感じているから。
それは、COOVAが個人的な創作と工業的な大量生産のあいだにあるものづくりに
可能性を感じている理由にもつながっている。
数学的で合理的な世界と、有機的で情緒的な世界を調整するのが
COOVAの役割なのかもしれない。

Excelで書き上げた設計図を介して、布づくりに関わってくれる人たちの仕事が始まる。
糸を撚る人、染める人、使い込まれた織機、その間をくるくると移動する人たち。
こうした実直な現場から、使う人の五感を心地よく刺激する、なんとも有機的な布が生み出される。
こうしてできた布は、使う人がいる場所にたどり着き
実際に使われることで「生地」から進化して、
くらしとともにある布「ファブリック」になれると思っている。